雨中コミュニケーション/たけし
ィスキーを。疼痛が麻痺するので」
そう僕が応えると少し和やかな声音になって
「疼痛?ご病気ですか?それにしてもそれはかなりだ。きょうつけてお帰り下さい、ここは街道沿いだし危ないですよ」
幾つくらいの人だろうと自転車の上の彼を見つめたが
ちょうど街灯の影になって解らない
たぶん声からすると自分と同じくらいだろう
「雨の中、ご苦労様です!」
掌を右側頭部に当てて僕が真顔で敬礼すると
「面白い方だ」
彼は笑い出しながら軽く敬礼を交わし
我々は別れた
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