真鍮の都/あおば
 
石の並ぶ
共同墓地に迷い込んだような感覚もあり
高層ビル群の商都の入り口付近を旋回する
最新型とも言えぬジェット旅客機の眼下の
世界一、着陸の難しい飛行場と聞き
少しだけ、怖くもあり、興味深くもあり
もとより、商売に不向きの私としましては
この次はいつ訪れるか判りませんが
ビル郡からの光の反射に、美しいと感じても
不思議ではありません
それとも、父祖が眠る共同墓地をぼんやりと
生きながら彷徨し続けているのかと考えて
真鍮の都ならぬ白亜の都の文字が目が浮かぶ
そんなことに耽っているから
ツアーの皆様にも遅れをとって足手まとい
の陰口を後でそっと耳にするのです
繁栄の都
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