ループする人生/たけし
 
実体性を持って
確固として存在していたのだ


僕は一種の臨死体験をしていたのだろうか?

しかし
あの時死体のように感じられたのは
両脇で寝ていた親達の方で
自分自身は
その息遣いも生々しく
目醒めていた

そう、
途方もなく目醒めて
いつまでたっても眠りは訪れず
代わりに
眼前の闇がその艶めく濃密さを湛えてざわざわと蠢き

「ヴゥーッ」という低く持続的なモーター音が
どこからともなく響いていて

それらが
僕の脳髄を震わせ
じわじわと侵食していった

僕はひたすら眼前に広がる闇を凝視し
打ちのめされていた

  〇     〇


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