おじさんの伝説/
そらの珊瑚
酒の自動販売機の前で
近所のおじさんは
ワンカップのボタンを押す
がたたん
おじさんは
しゃがみこむ
しばらくして
立ち上がったおじさんの手にあるのは
完全に飲み干され
空になったガラスのカップ
傍らに置かれたゴミ箱に捨てる
からん
気が向けば
――たとえば、てやんでえ、と毒づく気分でない時
――たとえば、青空を呪う気分でもない時
ひとりの家にそれを持ち帰り
道々で摘んだ野草を入れて
手向ける日もあるという
ことん
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