火花/
あおい満月
なにもしていない。
けれどこの手は何かを求めている。
白昼夢のなかで、
この右手は、
人混みを漁る。
ぶつかった誰かの
心臓に手をのばして
心房と心室の流れをまさぐって、
誰かのルーツを盗み観る。
からからからから、 笑いが溢れる。
前世からの大切な
告白さえも、
口にしてしまえば
灰になる。
ならば、紙ヒコーキにして、
夕陽に飛ばそう。
繋ぎあった手と手が、
いつの間にか真っ赤に燃えているね。
太陽の火花が、
二人に堕ちてきた。
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