夏休みの日記より。/そらの珊瑚
あみ戸をほんの少しだけ開けておく。
すかさず外にいる犬がやってきて、
そのすきまのそばで入りたそうにしている。
すきまを少し広げる。
あたまがひっかかる。
犬はあきらめる。
ネコなら手で開けて入ってくるのに、犬はそうはしない。
誰かが開けてくれるまで、
入っていいよとゆるされるまで、
ただそこで、じっとまっている。
キバだってあるのに。
犬はなんてばかなのだろう。
そんな犬がぼくは大好きだ。
ごめんなさい、犬。
ためしてごめんなさい、犬。
犬はなんてやさしいのだろう。
いつだってぼくをゆるしてくれて、
しゃべる代わりにぶんぶんしっぽをふっている。
犬もせんぷうきが好きなようだ。
かあさんが来るまでだよ。
せみがないている。
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