未知のことば/あおい満月
 
一枚一枚、
皮膚を削る。
削り落ちた皮膚はことばになり、
わたしというあなたの淵へ落ちていく。

あいすることも
ものを書くということも
すべての始まりは哀しみだ。

思えばいつも右手は
赤い血でまみれていた。
わたしはカッターで
言葉をかいて遊んでいたから。
母親に何度もふるい落とされても握っていたから。

今でも血にまみれた子どもだ。
携帯電話のディスプレイを削る。
まだ誰も知らない、
わたしでさえも知らない、
未知の皮膚が抉られていく。
流れる血は、
葉脈の迷路をたどって
外界のネオン街に出ていく。



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