残片/
瑞海
海の向こうに
蜃気楼が見えたら
熱帯夜の中で
君の香りがしたら
お水の中に
海月が泳いだら
もう夏の終わり
あの日に
買った金魚は
傷だらけで元気がない
掬い上げたら
水に溶けて消えた
この夏に
君の残片を
残してはいけない
香りも涙も
一つ残らず
本当は記憶からも
一つ残らず
気がつくと
ショパンの
別れの曲を
夜中に必ず
弾いている
もう少し先の
道だって
霞んで見えない
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