御見舞/七
知人の見舞いに桃を持っていったが
急に呼吸状態が悪くなったと
面会はできず
桃は連れ帰った
食卓に置いた木箱のふたを開けると
縦にみっつ並んで
桃たちは姉妹のようだ
血色よく尻をならべ
なんだか嬉しそうに見える
どの桃にしようか・・・
まん中のをそっとなでると
びくんと微動した
それではと手前のひとつに触れると
あっ!と声をあげる
これは大丈夫だろうと奥の桃に手を伸ばすと
チクリと指先が痛む
なんと生毛が針みたいに硬く刺さるではないか
これはどうしたものかと
ふたを開けたまま腕組みをする
大きく息を吸って
桃をじっくり眺める
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