帰郷/たけし
遠い遠い遠い造形
しなやかに湾曲しながら 沈んだ緑の空間を 静かに静かに生き生きと 近づいて来る近づいて来る
呼ばれ聳える一つの像
(記憶の堆積を貫いて、
常に不断に潜むモノ)
セピアの海から
浮かび上がる
巨大な翼
漆黒の輝き放ち
爛れ膨れたこの脳髄
突き裂き解き放ち
空に迸る鮮血浴びて
像は熱に燃え蕩け出す
(界と界の境界を
自由に飛翔し繋ぐモノ)
走る線、また走る線
斜めに垂直に水平に
水の色をたっぷり含み
交差する、衝突する
閃光放ち
個我を剥き、輝き響く
溢れよ!
この界を界たらしめる聖なる力、真の理
人、独り独りの魂を
無限の大洋で充たす霊
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