白い手/あおい満月
 
めぐりめぐらされた
想いもいつか星になる。
そんなことはわかっていても、
手をふる指の後れ毛を追いかける。
私をのせた小舟はどんどん岸をはなれていく。
夜空には、
いつか微笑みを交わした三日月が
空で寝息をたてている。 足元にある、
波がふるえている。
ふるえは大きくなって
肩先を呑み込んでいく。

私をのせた小舟は破けて、
私はおぼれる。
ふと、
誰かの大きくて白い手が、
私に触れた。
抱き上げられた私は
赤ちゃんになって
泣きながらあいさつをする。


(今日から君が、ぼくの小舟たよ)

その声に、
生まれたての抱擁で迎えあう。
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