砂の心音/
あおい満月
目を瞑っていても
追いかけてくる足跡の靴音を
遮るためにドアを閉めても、
靴音が追いかけてくる。
とくとくとくとく、 とくとく、
瞼に焼きついた
釘を打つ人形の、
布の皮膚に軋む
わずかな心音。
なくなりかけている砂の心音。
とくとくとくとく、 とくとく、
砂時計の地面に
つもる砂のなかにある、
顔と顔は、
砂になった心臓の
血管の細壁。
誰も知らない、
ドアの向こうにはまだ、
とくとくとくとくとくとく、
砂の心音が響く。
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