解けない解れ/凍月
 


絡まりながら生きている
街を歩いて上を見れば電線が通り
地下も配線だらけらしい
僕たちは“ライン”でやりとりしながら
タップで網を手繰り寄せる

繋がったまま生きている
誰かと誰かが
何かと何かで
見えない糸の蜘蛛の巣で
自分が誰なのか隠れてしまう

がんじがらめにされている
独りになりたい時でさえ
張り巡らされた関係の中で
ケーブルに接続されている

片っ端からコードを抜いて
邪魔な糸も引き千切り
その奧の自分を探してた
だけど、何も残るはずはない
僕は端子じゃない
僕はプラグじゃない
導線でも光ファイバーでもなく
回路そのものだったんだから




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