ヤモリ/
あおい満月
けなくなる。
**
台所のシンクの隅に
ヤモリの子供が潜んでいる。
警戒しながらわたしをみると
生ごみの闇に消えていく。
そうして翌朝、
お腹をぱんぱんに腫らして、
千切れた尻尾の先を赤く染め、
シンクのなかでわたしを視ている。
ヤモリはわたしだ。
母の様子を窺い行動を決める。
わたしは母のヤモリだ。
背中よりも近い
リビングの柱に張りつき行動を窺う。
しかたがないと諦める。
今はこの柱の温度が
今の生活なのだから。
戻る
編
削
Point
(7)