マンホール/
あおい満月
、
ガラス越しの鏡に火が映る。
何かがはじまる。
壊れた時計が動き出す。
**
メトロノームは
もう聴こえない。
鳥が飛び立つ。
超高速エレベーターで下界に降りる。
どこかで見た夕方のビル街を背に
真っ直ぐに磁石の呼ぶ方に足を向ける。
水をなくして
口をあけたマンホールが
錆びた目で行き交う人々を見つめている。
ポストに群がる鳩の一羽が
餌を与える子供の
小さなサクラガイを狙っている。
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