月/
佐藤伊織
月があることを忘れていたのは
決して僕が地下にいたからではないのです
けれどもつながりのない
偶然が
ゼリーのように冷蔵庫の隅で
また冷却するための振動が
伝わっていくマンホールの底
吹き上がる風は暖かい
誰かの熱を奪い去るために
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