「世界に満ち溢れるもの」/元親 ミッド
 

 
 
暗がりの街に、雪がちらついていた。
 
凍りつく大気、その向こうに雲
 
際は銀色に縁どられて
 
放射される天使の梯子
 
電線が揺れて、僕らはマリオネット
 
勝手に凍える指先。
 
それに抗おうとするのは
 
自由であろうとする魂だろうか。
 
手を擦って、思い出したのは
 
いつかキミが両の手で
 
同じように凍えた手を温めてくれた時のこと。
 
カーラジオが、そんな寒空から
 
クリスマスソングを濾しとって
 
世界を華やかに、楽しげにしようと
 
励ましてくれていた。
戻る   Point(5)