グレンリベットが云う/元親 ミッド
 
八重咲き桜の、白き花弁にさす紅の
 
艶めかしさにさす光。
 
光の粒に時は凪ぎ、深い記憶の谷間には
 
清流となった夢が飛沫を飛ばす。
 
さしかかった旅人は、一瞬己の旅人たるを忘れ
 
見上げた八重咲き桜に、
 
何かが溢れそうになって
 
それをなんとか押し戻すように
 
スキットルをあおった。
 
グレンリベットが云う
 
思い出は、過ぎたるからこそ美しいのだ
 
と。
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