JAZZが流れていたりした。/元親 ミッド
キミの笑顔が見れた日は、
見上げた空が曇っていても、降り注ぐ無数の滴が
宝石のように弾けるのを見て
街全体が、打楽器のようにリズムを奏で
耳を澄ませば、そこにもJAZZが流れていたりした。
キミの笑顔が見れなかった日は、
大通りの並木が、みな葉を散らしてしまってて
その向こうの、ひび割れた秋空の、青い破片が冷たくて
石畳の上の黄色い絨毯を、とぼとぼ歩き
街全体が、管楽器のようなコード進行で
難しそうな、JAZZが流れていたりした。
辿り着いた海辺に立って
重く濁った波を眺める。
冷たい、見えない糸が世界を
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