疋田龍乃介詩集『歯車VS丙午』について/葉leaf
 
側の自発的な気付きを促すものである。引用部にあるような「犬がひげの癌」などのユーモアに疋田のそういった姿勢が端的に表れている。疋田はユーモアによる詩の受容を期しているのである。詩が暴力を有効に発揮するためには、直接的で単純な革命を目指してはいけない。詩が暴力を発揮するためには一度その暴力を隠ぺいしたうえで、社会からの受容を促し、社会に浸透していく必要がある。そこにおいて初めて詩は社会を漸進的に変革する暴力になれるのである。

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