サボテン/楽歌
少女の声に埋もれるべきだと思った
そのためには、私が抱えていた孤独なんてものは邪魔でしかない
「・・・優しくある必要なんてあるのかしら?」
少女のそれが、トマトの言葉であったか、詩人の言葉であるのか
それともそれさえもただのムラサキだったのか
私には判らないままであったのだけれども
わたしはただ、ただの棘にならなければならないのだと
そんな気がしていた
嗚呼
少女が広げた手のひらに、私は突き刺さって生きていくのだ
それくらいしかできそうにないのだから
夏までは待てそうにない
6月が晴れ間に降らせた雨は、少女の髪を滑り落ちながら
細い首を狙っている。
戻る 編 削 Point(4)