ワンサイド/Seia
 
封筒の端をハサミの片方で割いて
中身を確認すると
手紙の束が入っていました
一枚一枚丁寧にさくさく切っていくと
文字の欠片だけが残りました
あとはノリと台紙があれば
なんだって盗めそうなくらいに

何度目でしょうか
この作業をするのは
慣れたものです
鯵や鯖をおろすときとおなじく
無心で出来るようになってきましたから

引き出しの中には
これまで切った紙クズ
ではなく
言葉の部品がぎっしり五段
荒々しい風が部屋に舞い込むと
隙間からぽろぽろはらり
おちたひらりで今日を占う
ことには既に飽きてしまいましたが
たまに手にとって
しばらくながめていると

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