へびか靴紐/そらの珊瑚
 
岩を
恐竜の卵だと言い張って
娘はそれを大切に持ち帰り
しばらく身のうちで温めていた
 
 小さな手
 汗ばんだ熱
 孵化したばかりのような柔らかさ
 そのくせ強い握力
 薄く透ける爪

 ちらのざうるすは、おともらち

大切なものほど
さよならさえ言わずに
去ってしまうものなのだ
あるいは
隕石の衝突で一瞬のうちに消えるとか

そうしてまた懲りずに見失う
先ほどの草むらにはもう何もない

へび、だったのか
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