石を打つ/
服部 剛
囲碁には(天元)の一手があるという。
運命の場所をそっと探るように
シナリオの無い未来を読むように
白と黒の石は…互いに音を立て
碁盤の升目を、埋めてゆく。
――碁石とは、天の星々のようですなぁ
――ならば、娑婆(しゃば)に置かれた人間達とも…
――言えますねぇ
この世がもしも
碁盤の世界であるならば
勝負を分ける(天元)に、音の立つ
あの瞬間を求め
私は摘(つま)んだ碁石を、宙に上げる。
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