永遠/アンテ
 

来る日も来る日も
あなたの永遠は
鳥籠の止まり木につかまって
言葉をまき散らした
毎日まいにち
わたしの永遠は
もそもそと床を這って
散らばった言葉を食べつづけた
あなたは時々
思い出したように
わたしの永遠をとんちんかんな名前で呼んだ
わたしは気が向いた時に
あなたの永遠の世話をするたび
水やご飯や鳥籠の掃除や
なにかをし忘れた
季節が移り
冬の寒さで息が白くなると
わたしの永遠は
さっさと冬眠して動かなくなり
あなたの永遠は
相変わらずしゃべりつづけた
床に散らばった言葉のせいで
家じゅうに埃が舞うので
窓を開けて空気を入れ替えなければ
とても息ができなかった
あなたは日がな一日
なにをするでもなく
部屋を行ったり来たりするので
ますます埃っぽく
わたしは窓辺から離れられずに
よく晴れた空や流れる雲をながめて
気を紛らわせた
早く春が来ればいいのに
誰かの声が
窓から吹き込む風にかき消された


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