寿/ドクダミ五十号
 
ドヤと言う言葉を
君はご存知だろうか

横浜と言う
首都の隣の
港町

もうドヤドヤと
酒場を賑やかする
声は無い

季節労働者は
簡易宿で
死ぬを待つ

南区役所に行けない
パン券と呼ばれる
最後の砦も
もはや意味はありません

簡易宿泊所の一室
わずか三畳で
死んで発見されるまで
腐臭を放つ

なんと残酷か

誰もが冷酷になれるだろうか
君も私も

ドヤと季節労働者
さまざまな方言が飛び交う
それぞれの出自
それが飛び交う最低な店

日本の首都は
彼らが作った
君は想像出来ますか
故郷を捨て
貧しい両親の為
夜汽車に揺られ
二度と戻れない旅路を

何の寿だろう
ドヤ街は静か過ぎる
今日も死んでゆく
誰もその人を救わない
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