すいっち/そらの珊瑚
 
ていたら

実家で偶然見つけた中学生の頃わたしが書いていた日記帳は
母への不満悪口だらけだったのに本当に心底驚いたのだった

忘れてしまうものなのだ、洗いざらい笑ってしまうほど。

わたしもかつて得体の知れないすいっちを持っていて
表向きはいい子でいようとしたぶん
娘のすいっちよりわかりづらくて巧妙で嘘だらけ

いい子でなんかいなくてもいいよ

そう思って眺める中学生の娘の寝顔の中に
世界で一番かわいい赤ちゃんがいることを描き出すことのできる
わたしだけの
やわらかな すいっち

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