狙われた街/アラガイs
 
に相手をしちゃ駄目じゃないか)と叱れば、(ああ、わかりませんから息子に、息子に聞いてみてくれと言っといた、、)そう言いながらさっさと炬燵に座り込む。訳のわからない電話はしょっちゅうかかってくる。その話を聞くたびに(相手をしちゃあ駄目だ。わからないではなく、要りませんと言って直ぐに切ればいい。)と叱る。これはいつもの口癖である。

毎日のように街の有線からは××詐欺に注意しましょうとか、××さん尋ね人の連絡が流れてくる。
その度に胸の奥に痛みがはしる。
悲鳴のあがらない痛み。内部からじわりとこみ上げてくる悲痛や怒り。
地方ではどれほどの街がこのような状況なのだろうか。
この辺りは工場区域である。人口が減少しているこの街も昼間は忙しない。知らないうちに工場も増えてきて知らない人間も増えた。
見馴れた顔の息子や孫たちの姿を見かけることもない。
ほとんどが引退した年金暮
らしの夫婦連れだ。
そして遮光と佇む荘庵の中には、一人暮らしの年寄りばかりが住んでいる 。









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