ラムネ/アンテ
ビー玉を
プラスチックで
ぎゅっと押しこんで
からんと音をたてて
ひろこちゃんがわらう
びんがずっしりと重い
人がいっぱいで
やすむ場所もなくて
やっとみつけた木のしたで
ふたりしゃがんで
はやく家にかえりたくて
でも 炭酸が苦手だって
言いだせずに
水滴をゆびでぬぐう
ひろこちゃんはなにもいわずに
おいしそうに
びんに口をつけて
甘い炭酸をのむ
たくさんの人がにぎやかに
通りすぎたり
立ちどまって また歩きだす
おまつりたのしいね
自分の声じゃないみたいだ
でも ほんとはすこしだけ
そう思ってたんだ
からん
音がして
となりを見ると
びんが転がっている
あんなにさわがしかったのに
今はだれもいない
まばらにともった外灯から
ときおり かさかさと音がする
空のびんをひろうと
まだひんやり冷たい
プラスチックが
手のなかでわらう
ひろこちゃん帰りたいの
わたしもわらう
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