自称詩人/……とある蛙
 
えしなければ
2月だというのに芽吹く前の梅の枝が
塀越しに道に張り出していたり
野良犬と思っていた雑種の犬
が実は飼い犬で買い主と散歩していたことや
歯医者の2階から
朝のあいさつをしているのが
オウムでなく九官鳥だったことや
いろいろ見えてくるはず。

塀沿の上で蹲っている猫が
見事なロシアンブルーであったことや
すれ違った乳母車の中が
実は小さな婆ちゃんであったことや
見過ごしてしまったどうでもいいことがたくさんあって

なぁにが詩人だと
後ろ指を指されても相変わらず
くだらないプライドを後生大事に
内蔵脂肪の内側に隠しているのです。
肥満の原因は分かっているのに
そのままぶくぶくと太ってしまって
駅まで歩く事すら億劫になってしまった

自称詩人が何を隠そう私です。
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