風の童子/服部 剛
 
俺は、風を探している。
退屈極まり無い日々を
ぶおおおうっと一掃する、一陣の風を。

――それは、生きてる本を
  開いた頁のすき間から、吹き
――それは、熱いライブを
  終えた無人の舞台から、吹き

願わくば…俺やあなたが
織り成す日々のシーンの中で
1/100コマでも
あの熱風は吹き抜けて
モノクロ画面に、色の現れることを。  

俺は目を瞑り…風音に耳を澄ます。
呪文を繰り返し…自己暗示をする。

風よ来い、来い、風よ来い
風よ起これや 風! 起これ
日々のシーンに――今・ここに  






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