満月/
Lucy
おとうさん
あとどのくらい
私は生きるのでしょうか
あなたの
居ない世界に
あなたのことなど
ほとんど忘れて
生きてきた年月
これ以上なにが
見えてくるのか
知りたくもないことばかり
憶えて
あの日
緑の稲をそよがせ
やわらかな風が
吹いていた
山の上に
大きな月がのぼった
蛙の鳴き声がして
世界は
それですべてだった
おとうさーんと呼ぶと
遠くで手を振る
父がいた
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