春の夕景/
服部 剛
春風に舞う、花吹雪の内側に
激情を秘める…桜の心
そ知らぬ顔の我が精神は
平熱のまま、何者でもなく
花吹雪の傍らを過ぎ往く
金色の風は
あの坂道さえも越え
私を明日へ運ぶだろう
金色の風は
まだ見知らぬ土地にいる
あなたと私を、結ぶだろう
*
この坂道をのぼりゆき
いつかふり返る日
遠い麓(ふもと)に小さく見える
桜の樹は
黄昏に染まり
花吹雪、春風に舞う
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