はがれた。/
千翔
僕のなかには、爪のはがれた音だけが響く。
愛とか恋とか絶望とか。聞こえない振りを。
爪のはがれた音が聞こえる。悔しくて爪をかんだからだ。
恐くて泣いたからだ。
辛いことも悲しいことも見ない振りを。
僕の心に君という爪がひっかかる。ひどく、痛くて。
僕の心をはがしていく。
僕のなかには、爪のはがれた音が響く。
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