五反田にいた頃/番田 
 
着くとインド人の作る本格的なカレーだったが、帰り道で胃がもたれているのがはっきりとわかった。今でも、私が取り付けた小さな部屋に灯された電球のまるい模様を覚えている。サブウェイが目黒川のところにあって、サンドイッチを食べに行くのが私の唯一の楽しみだった。日差しの当たる窓際でそれを若い女の子の隣で食べたのだ。弁当屋も、オープンテラスのモスバーガーもあったっけ。今では、無機的なビルに建て替えられてしまった。それにしてもでもまだ、あのビルの暗闇の中で休みもなく働かされている人はいるのだろうか。眠ることの許されない苦しみだけが、朝まで続いていく閉ざされた空間の中で。

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