春告鳥/そらの珊瑚
さっき買ったばかりの
ペチュニアの苗にあった
つぼみが
うらうらとした
ひなたの中で
もう咲きかけている
そうやって
ほどけ始めた
濃紫のはなびらは
見せかけより何倍も
ふくらんで
惜しみなく浴びようとする
惜しみなく生きようとする
おひさまとの
約束を思い出したのだろう
お成り
お成り
なんにでもお成り
いつだって風は呑気だ
けれどもわたしはもう知っている
たったひとつしか選べないことを
そういう
約束
まるで脚本通りのように
天使(うぐいす)の声がして
すぐさま耳は
カタカナに変換してゆく
戻る 編 削 Point(11)