理由/オダカズヒコ
 


自分の気持ちだ。

自分の心がはっきりしないことほど、うんざりすることが他にあるだろうか?
何も決められない自分を目のあたりすることほど、惨めな気分になることはない。

動物園に行く。


ゾウの太い足を眺める。
コンクリートを踏みしめるその足はまるでぼく自身そのものだと思った。
巨体を揺すりながら狭い場所を何度も何度も往復するその行動におそらく何の意味もない。
「何の意味もない」この啓発的な認識さえ現実を1ミリも動かすことができない。


 --------ゾウの太い足を見る。


「太った」
「え?」
「太ったのよ、あたし」
「そんなことないだ
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