動詞/為平 澪
 
人を、愛、する、 ということに、疲れて、しまった、人の 
愛、している、というものに 縋りってみたくて 家出した 
「し」はいつも隣り合わせに居たし  
高速バスに頬づえつく、くらいの、考える、という距離 
移り変わるものは 季節ではなくて人の心 
速度をあげて回転するタイヤの円周率、三.一四.一、 
幾度目かの春 
無限旅行を続けなければならない  
あなたにとっては 終わりの 
私にとっては 始まりの 春 
車窓の景色が変わるた毎に 傍にいた人は 
伝言をのこして 下車していった  
何を彼らが言いたかったのか 夕陽が傾く頃 
終点の改札口の駅員さんが パチン
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