モナリザの目/服部 剛
 
モナリザの目は、妊婦の目。
腹に掌をそっとあて
――遠い明日をみつめるような
――胎内の子を、見守るような

モナリザの目は、母なる目。
絵画は幾世代も旅をして
今日も世界の何処かで、出逢う
人々の心象に灼きついて

(声無き声は…人に囁き)

母なる者のまなざしは
静かに時を、射抜くでしょう。

永遠(とわ)に消え去ることもなく
今も空白の額縁「  」から
あなたをじっと見守る――モナリザの目。  






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