石の顔/服部 剛
 
日々の道に転がっている
いくつもの…丸石や尖った石

どちらを拾うか問われているが
世の重力に押され、屈む私は
つい、感情に流れ
尖った石を、手にしてしまう。

尖った石を拾いそうになったら
屈んだ背筋をぐりり…と伸ばし
呼吸を、一つ。

――遠い空の青さに、目を細める。

コッケイな自らが鼻息、荒げる
ちっぽけな日々の場面を
少々俯瞰(ふかん)しては
へらへらと嗤ってみる。

靴元を見下ろせば、ホラ
朧(おぼろ)な顔を浮かべた丸石が
こちらに何やら――囁いた。  






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