春とエレジー/月形半分子
どんなに痛いことだろう
わたしにすらこの街は、こんなにも冷たいのに
ましてやお前は、その土に、身を突き刺しているのだから
身を万力で締め付けられて、どこにも逃げられぬお前に
人目につかぬその土の下は
いったいどんな、残酷な仕打ちをしていることだろう
赤い血が流れぬからといって
それがなんの証になるだろう
涙が流れぬからといって
それがなんの証になるだろう
いつだって他人の痛みなど、人は見ないものだし
涙だって本当は、背骨の裏を焼けるように流れていくものではなかったか
春の到来をつげて、遠くで雷
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)