日常/……とある蛙
 
酒浸りの毎日が厭きてくると、突然思い立って詩なんぞを書き始めるようになつた。

 詩を書くことにしたのは、既に日々欠乏しつつある己の体力と得体の知れない精神と何とか帳尻が合うかも知れないと言う甘い憶測に基づく。
出だしは慎重に!!何も抵抗なく書き終えた詩を裏返してみる。
何か透けて汚らしい染みのような物が見える。

とりあえず乱雑に散らかった机の上にほったらかしたまま、晩酌と洒落込む。
鯖のヘシコに菊正宗。
随分と奢った晩酌だが、どうせ独り酒、誰に肴の気兼ねが必要か。
一合のお銚子二本。

乱雑な机の上には朔太郎の「青猫」、尾崎放哉全句集、江戸川乱歩短編集な
[次のページ]
戻る   Point(8)