靴を捨てる日/
そらの珊瑚
紙箱に仕舞われた
細いヒールの靴を
何十年かぶりに取り出す
一歩
二歩
あまりの痛さに
これはもう私の靴ではないと
知る
おそらく知っていたけど
今日、知ったことにする
おそろしく窮屈で
アブナゲな靴を
涼しい顔して履けていたんだなあ
若さ、とは
そういうことだったんだ
戻る
編
削
Point
(12)