さいはて/そらの珊瑚
 
海は優しい
もちろん
それだけではないことを
たくさんの人が知っている
海は荒れ狂う
そんな日は
早々に寝てしまうだけ
海鳴りを子守唄にして

たどりついた
ふるさとの
今朝の海は
ここまで満ちて
潮騒のほかは何も語らない

浸した
わたしのくるぶしを
ただ
いたづらに
からかうように愛撫してゆくから
いともたやすく
わたしはふやけて
五歳の少女になりえてしまう

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