猫砂/……とある蛙
猫砂に埋もれた二人の思い出は
一部は綺麗に乾涸らびて
形だけくっきりと存在している
一部は砂がかけられずに
異臭を発して、未だ砂の上の鎮座する。
軋む心と身体を引き摺って
ほんの七段の階段を
一つ一つ数えながら、
左足で一つ上の階段
麻痺した右足を引き摺りあげ
手摺りで身体を引っ張り上げ
一段分だけ引っ張り上げる
一つ
二つ三つ
四つ五つ六つ
最後の一段を引き上げるとき
右足を片手で押し上げる
ななぁ〜つ と
漸くたどり着いた行き先はトイレだ
二人でたどり着いたトイレは
思い出を捨てる猫砂が敷き詰められ
くっきりとしたものは何一
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