水溶性キネマ/クローバー
 
僕が書きたいのはこんなものじゃなくてと、主人公を消した
君はヒーローではない、そして、ヒロインとヒーローは別にいるのだ
両親はとても優しい、そして、君はとても優しい
正義とは何かを、サンデルに聞いても、もう少し脆い方が本当なのだ
鋭い切っ先ほど早く欠ける、細さに強度を持たせることは
材質が同じである以上、限界がある
それを無視して、愛してくれてもいいのだ
恐れを知らずに純粋さを突き詰めてしまったのだね
宇宙船のネジになるために進化してきた地球の生命は新しい地球を作れるのかな
そう言って自分の死んだあとの生命の心配をする君が
愛しくて馬鹿らしい
水溶性キネマだよ
しだいに溶けて忘れ去られる物語だけど、そこで生きちゃってるんだな
達観したふりをして泣きそうになる。
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