迷える若人へ ♯2/服部 剛
深夜の駅のホームを飛び降りて
線路の上に独り立ち
北風に吹かれながら
オリオン座の方角へと吸い込まれるように
敷かれた線路の向こうに待つ明日を
全ての葛藤を貫ぬいて光る眼差しで睨(にら)む青年よ
「真(まこと)の君」は
闇に消える線路の上を
すでに静かな足どりで歩いている
おぼろに白く光る「彼」の背中についてゆくなら
何処にいても君を見守る冬の星座は
四つんばで這い続け、吠える若人を
決して負け犬と呼ぶことはないだろう
奈落の底から見えない口を不気味に開く
淵深(ふちふか)き漆黒の谷を越えて歩みゆく
「彼」の背中が消えた先の
「闇の向こうに待つ明日」へ
細い線路の吊り橋は架けられてゆく
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