水の音/村上 和
 
みずのね
さらさらとね
ながされる
ひとのシやセイが
たいがになって
いつかのよるの
うみみたいなばしょへ


みずのね
ちゃぷんとね
りゅっくのなかの
つつのなか
ゆれるたび
あしおと、いき、こどうと
キョウメイしている
まいごにならないように
てをつなごう


みずのね
ざーっとね
センネンのなごり
ふるいまちかどで
ぬれた
かさのした
いしだたみのうえ
たたずんで
メをとじる
ふうりゅうだねと
はいぶりっとな
バスがいう


みずのね
ぽたりとね
じゃぐちのさき
だれもいないへや
セイジャクのすみの
まどのした
かすか
ほんのわずか
はなのメがのびる
いぶきのひびき


みずのね
ぽわりとね
いつかのよるの
うみみたいなばしょ
くらやみからひかりのほうへ
キホウがのぼる
キボウがのぼる
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