雨上がりのステップ/
そらの珊瑚
わたしが
とても小さなこどもだった頃
なにも知らない
知らないということが許されていて
それが
どんなにか幸せだったかということさえも
知らなかった
笑うたび頬に
くぼみを作っていた頃
しずくを滴らせた
アンブレラを開いて歩けば
ふわりと空を翔べそうだった
涙の伝ったあとは白く乾いて
なぜ泣いていたのかさえ
たやすく忘れて
向い風をつかまえた君は一瞬で
羽になった
わたしは音楽のように軽かったのだ、ね
アンブレラ
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