Miz 4/深水遊脚
 
違うものだけれど、疑わないという点は、案外一緒なのかもしれない。

 ヒーロー結社が誰を敵とするか、ある程度は当主の市田幸盛さんを信頼しなければいけない部分ではある。でも盲従するよりは自分でも考えるべきだと思う。そうしないとギリギリの命のやり取りなど、到底できない。政志くんの話を聞く限りではその価値観において食い違いはあまり感じられない。それぞれがとても思慮深く、盲従という状態でもないようだ。

 私は今日、誰が敵なのか、私が戦うとして何と戦うのか。あるいは戦うべきではないのか。それを深く考えるためにある人と会うつもりになっていた。まだ連絡をするには早い。メイクはごく軽めにして、ラフになり過ぎないように細めの黒のパンツにグレーのタートルネックのセーター、そのうえに細いシルバーのネックレスをつけて濃紺のコートを羽織り出かけた。行く先は隣町のお寺にあるお墓だった。

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